南九州の外城の町並み、麓の町並みの記録です。
蒲生





山田麓は,旧山田村(現在の姶良市の一部)の下名に残る小さな麓で,藩政時代に帖佐郷の一部を分割して山田郷とし,地頭仮屋の周囲に麓が形成されました。麓の馬場や小路に石垣や生垣,武家門など麓の遺構が残っています。有名な山田の凱旋門が近くにあります。

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山田の凱旋門

凱旋門は,日露戦争従軍者の帰還を記念して明治39年山田村兵事会によって建設されました。高さ4.7m,間隔2.7mの門柱間に石アーチを架けた石造りの門で,国の登録有形文化財。日本に現存するアーチ式の凱旋門として貴重な存在。山頂に慰霊碑が並ぶ。
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山田麓の町並み
凱旋門のある位置から麓の中央を南北に馬場が延る。地頭仮屋跡は旧山田村役場。
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山田麓の町並み
馬場沿いに玉石垣と生垣が見られます。石柱門も残っている。

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山田麓の武家門
馬場から小路に入るとひっそりと武家門が残っています。腕木門。

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山田麓の小路
山田麓の小路は切石積の石垣や武家門など,馬場よりも麓らしい雰囲気が残ります。

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小路の風景

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山田麓の町並み
山田麓は山田川の右岸に集落が広がる。上の通りにも玉石垣や生垣が見られます。

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山田麓の町並み
上の通りに石柱門や武家門も見られる。

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山田麓の町並み
山田麓は小さな麓ですが,各地の麓で見られる風景がしっかりと残っています。

下名(しもみょう)の近く,住吉に本堂が石材でできた珍しいお寺が建っています。蒲生から山田に向かう途中最初に見かけたとき,石造りの倉庫と思いましたが,お寺の本堂と知って驚き,石塀,正門も立派な造りで,田んぼの横に貴重な史跡が建っていることになお驚きました。

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新照寺の正門
住吉にあるお寺。石材により本堂の建立が始まり,明治26年に本堂,2年後に正門・石塀が完成した。正門は門柱の頂部に笠石を載せ,左右の塀に笠石を載せた立派な構えをしています。正門は国の登録有形文化財。

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新照寺の本堂(左)と石塀(右)
石造りの本堂と通用門,城郭風の石塀も国の登録有形文化財。石塀は水路に沿って築かれています。

山田_ 旧薩摩藩領内には「田の神さあ」と呼ばれる石像が各地に残っています。田の神は,もとは山の神で,春になると里に下りて田を守り,豊穣をもたらすと信じられており,稲作農業を中心とする日本では古来より全国的に浸透していた民間信仰ですが,田の神を石に刻み祈願する風習は南九州独自のものです。下名の西田にある田の神は,めしげを手に持ち,頭に藁の編み物を被り,大らかでユーモラスな表情をしています。
西田の田の神
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付近の風景
訪問時はアジサイの咲く6月。田植えの水張が始まる頃。

訪 問:2008年6月13日
参 考:姶良市デジタルミュージアム/文化遺産オンライン他等

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