鹿児島県と宮崎県に残る旧薩摩藩領内の外城と麓の町並み記録です。
佐多





佐多は大隅半島南端の町で,日本本土最南端・佐多岬があることで有名です。藩政時代の佐多郷は,伊座敷村・馬籠村・郡村・辺塚村からなり,郷の中心・伊座敷村に地頭仮屋が置かれました。

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佐多麓の町並み(2014年)

旧佐多町は,旧根占町とともに中世に禰寝院南俣と呼ばれ,南北朝期は大隅の豪族・禰寝氏の本拠地でした。禰寝氏が島津氏に降り,文禄5年(1596)の太閤検地で吉利に移封されると,佐多は島津氏の直轄領となります。根占の中心・川北から伊座敷まで佐多街道を南下して車で約30分。バイパスやトンネルが整備され,佐多までのアクセスが便利になりました。

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佐多の中心・伊座敷の町並み(2013年)
地頭仮屋跡は佐多町旧役場。上の道路は国道269号(佐多街道)から分かれる県道68号で佐多岬方面に延びる。伊座敷を歩くと麓らしい石垣の続く町並みが見られます。

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佐多麓の町並み

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佐多麓の町並み
切石積みの古い石垣が続く。

佐多は,大隅海峡を流れる黒潮の影響を受けて冬でも暖かく,岬にかけてハイビスカス・ガジュマル・アコウ・ビロウ・ヘゴなどの亜熱帯性植生が多く見られます。藩政時代の佐多は,伊座敷の八百坪の土地に薬園(佐多旧楽園)が設置され,温暖多雨の気候を生かして、多くの熱帯植物が栽培されました。毎年採取されたリュウガンの果実は薬用・食用として藩に珍重されたと言われます。
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佐多旧薬園(伊座敷)
藩政当時の薬園の様子が県内に現存しているのは佐多だけで,昭和7年に佐多旧薬園として国の史跡名勝天然記念物に指定されました。

せっかくなので佐多岬方面に足を延ばす。伊座敷から佐多岬まで車で約40分。

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途中の集落
途中に島泊、大泊、田尻などの集落が点在する。 佐多_
佐多岬ロードパーク(左)と佐多岬の海岸(右)
大泊から先は佐多岬ロードパーク。かつての観光有料道路。現在は町道佐多岬公園線となっている。
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佐多岬遊歩道(左)と御崎神社(右)
駐車場からトンネルを抜けると突端の展望台までは遊歩道が続く。御崎神社は本土最南端の神社。創建708年と言われる。
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本土最南端・佐多岬(2013年)
佐多岬灯台を望むことができる。現在は新しい展望台が整備されています。

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国道269号(佐多街道)からの開聞岳の眺め
対岸は薩摩半島。垂水フェリーが就航する垂水港まで戻ります。

訪 問:2013年2月15日(一部2014.4)
備 考:佐多岬展望台(2018年オープン)、佐多岬マラソン
参 考:南大隅町ホームページなど

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