鹿児島県と宮崎県に残る旧薩摩藩領内の外城と麓の町並み記録です。
加治木





旧加治木町は,鹿児島県本土の中央に位置し,姶良地区の政治・経済の中心を担う町です。島津義弘がこの地に家臣団とともに移り住むと,館を中心に町並みを整備しました。島津義弘が晩年を過ごした館は,加治木島津家に引き継がれます。

加治木
加治木護国神社(仮屋町)(*)

関ヶ原から帰国した島津義弘は,帖佐の館から平松城に移った後,1607年に平松城から加治木城の麓に館を建て,晩年まで加治木で過ごしました。義弘の居館が置かれたのは東の丸で,義弘の子・忠恒が西の丸を増築します。忠恒の三男・忠朗を初代とする加治木島津家がたてられると(1631年),代々の領主が館に居住し, 加治木を治めました。

(*)護国神社は,明治3年に招魂社として反土の端山に建てられ,明治18年に館跡(東の丸)に移転遷座しました。

加治木
加治木館跡
仮馬場通りに沿って加治木館の立派な石垣が残ります。石垣は切込み接ぎといわれる工法(方形に整形した石材を隙間なく積み上げる工法)によって築かれました。石材は加治木石と呼ばれる地元産出の溶結凝灰岩を使用しています。

加治木
仮屋馬場通り
館の石垣が加治木高校(東の丸跡)から柁城小学校(西の丸跡)まで続く。加治木麓は,館の前に仮屋馬場が設けられ,館を中心として計画的に整備されています。

加治木
鹿児島県立加治木高等学校(東の丸跡)
前身は旧制鹿児島県第三中学校。正門に石柱門が建つ。2025年に創立128年を迎える。

加治木
加治木館跡
左の石垣は加治木高校,右の白壁は柁城小学校

加治木
仮屋馬場通り
仮屋馬場を挟んで館の反対側には郷の役所や有力家臣の屋敷が配置されました。

加治木
蒲生田(かもだ)通り
仮屋馬場から南に蒲生田通りが延びます。幕末期,現在の検察庁敷地に郷校「毓英館」(いくえいかん)が再興されました。毓英館は明治3年に第七郷校となり,明治8年に柁城小学校と改称されます。

加治木
柁城小学校の正門(西の丸跡)
1784年に加治木島津家第6代久微により創設された毓英館を源流とし,2025年に創立154年を迎えました。柁城小学校の正門は今和泉小学校のそれに似ています。

加治木
加治木郷土館(西の丸跡)
入口に立派な石柱門が建つ。光蘭院貞姫は加治木島津家第9代領主久長の次女。島津斉彬の養女となり、薩摩藩から関白近衛家へ嫁ぐ。近衛文麿は貞姫の孫にあたる。

加治木
町立加治木図書館(旧日本館)
昭和12年(1937)に建てられた。登録有形文化財。隣に洋風建築の旧陳列館が建つ。

加治木
加治木
仮屋馬場通り
加治木石からなる見事な石柱門と切石積みの石垣,生垣が見られます。

加治木
仮屋馬場通り
左は柁城小学校(西の丸跡)の石垣。右の看板「ギャラリーDo-Ma」は旧新納家敷地にある築120年の日本家屋で雑貨や陶器など様々な作品を展示しています。とても居心地のよい空間です。

加治木
石垣(左)と石柱門(右)
ギャラリーDo-Maの近くの小路にきれいな石垣やかわいい石柱門が残ります。

加治木
曽木家の門(本町)
茅葺の腕木門。観音開きの潜り戸付き。説明によると,曽木家の門は曽木家の祖先が木崎原の戦いで戦死したため,島津義弘から軍功として拝領した飯野城の大手御門で,現在の門は18世紀頃に武家門に作り替えたもの。控え柱に自然木を用いる。曽木家は加治木島津家の重臣。
加治木
曽木家の門
加治木市街地に残る貴重な茅葺きの武家門です。

加治木
諏訪町の武家門
腕木門。JR加治木駅近くの諏訪町にも武家門が残ります。ここの武家門は珍しく棟石が載っています。
加治木
諏訪町の武家門
諏訪町にも麓らしい遺構が残ります。

加治木島津家について
加治木島津家は,忠恒(*)の三男・忠朗が,島津義弘の遺領である加治木1万石を拝領したことに始まります。忠朗は義弘の遺臣を受け継ぎ,その後1万8千石に加増されます。1738年,再興された越前家を筆頭に加治木・垂水の両家が一門家に定められました。1744年,再興された和泉家(今和泉家)が一門家に加わります。加治木家は,後に2人の薩摩藩主(7代重久と8代重豪)を輩出します。 (*)忠恒は初代藩主島津家久にあたる。

椋鳩十について
長野県生まれ。児童文学作家。昭和5年に加治木高等女学校の国語教師となり,教師の傍ら作家活動を続けます。昭和22年に鹿児島県立図書館長に就任。2025年に生誕120周年を迎える。代表作は「片耳の大鹿」「大蔵じいさんとガン」「弧島の野犬」「マヤの一生」など。鹿児島県内を舞台とする作品が多い。

訪 問:2008年9月9日(一部:2009.10/2019.3)
備 考:加治木城跡/精矛神社/龍門滝/龍門司坂/龍門司焼/金山橋/くも合戦/椋鳩十記念館
参 考:姶良市デジタルミュージアム/県史46鹿児島県の歴史等


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